母として娘として
少し前になりますが、神戸で開催された日本専門薬局同志会の全国大会に参加し、ジャズシンガーの綾戸智恵さんの講演を聴きました。
舞台に出てこられた綾戸智恵さんは、小柄で若々しく可愛いおばさんという印象。
ですが、お話が始まると関西弁でテンポよく舞台の上を軽快に動き回りながら冗談を言っては私たちを笑わせ、アーチストとしての貫禄を感じさせました。
綾戸智恵さんは、現在62歳。息子さんがおられ、母として娘としての立場から気づいたことを私たちに話してくださいました。
90代のお母様を15年ほど前から介護されているとのこと。
「仕事しながら親を介護してすごいね。偉いね。」と言われることに違和感を感じることが多いと話されました。
介護してるのは、一人娘としてそのように育てられたからということ、それがたまたま叶う環境だったというだけだと。どんなに親を大切に思っていても、状況によって介護できるとは限らないからと。
私が綾戸さんの話で一番心に残ったことは、母親は娘に対してずっと母親でいたいと思っているということに気がついたという場面。
綾戸さん自身も息子さんに対してずっと母親であると感じ、それは同じだということ。
たとえ歳をとって弱ってきても、母親に対しての尊敬と娘としての想いや立場は変わらないことが大事なんだと話されたエピソードが素敵だと思いました。
一緒に綾戸さんの話を聞いた方から、「私の親はもう亡くなってしまったので、綾戸さんの話を聞きながら羨ましかった。」という感想を聞いたのも印象的でした。
親を介護するということ。母親として娘として、いろんなことを経験できる幸せを考える時間となりました。
綾戸さんのお話のあと、早速CDを聴いてみました。
有名な「テネシーワルツ」が、より温かく心に響きました。
《ふ》